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イベントレポート2013.08.26

国際協力レポーター ヨルダン視察レポート

グローバルビジョンテクノロジーは様々な観点で社員のグローバル化に取り組んでいます。 その一つとして、国際協力レポーターに個人として応募した社員に、特別休暇という扱いで参加を認めました。 弊社ではJICAと民間連携ボランティア制度を通じたグローバル人材育成について連携しており、 社員の現職参加に関連して、ODAを通じた国際協力の現場の視察は大変有意義なこととなりました。 以下、ヨルダン視察に参加した社員からのレポートです。

<応募のきっかけ>
以前はあまりODAに深く関心を持っていませんでしたが、GVTが民間連携ボランティア制度を取り入れたことにより、JICAの活動や国際協力に関心を持ちました。 自身や同僚が活動に参加する可能性がある以上は、国際協力について知り、周囲に伝える必要があると考え、国際協力レポーターへの応募に至りました。

<視察前の気持ち>
視察前にはヨルダンや中東に対してテロや紛争、政情不安などのマイナスイメージを強く持っていました。派遣前研修で安全性に関する説明を頂きましたが、 それでも心配は尽きません。 しかし、協力隊隊員の方々がどのような環境におかれ、どのような気持ちで任務を全うしているのか直接感じ取ってみたいと考え、 その上で、日本のODA事業がヨルダンにとって価値あるものなのか否かをレポーターとして判断したいと思えるようになりました。

<略史>
紀元前4世紀に王国が築かれその都をペトラに定める。7世紀にアラビア半島からイスラム教徒が進入しイスラムの国となる。その後、十字軍の進入を経て、オスマン・トルコ帝国の支配下に入る。 第一次大戦後は英国の任意統治領となり、トランス・ヨルダン首長国が建国。第二次大戦後は完全な主権国家として独立。1950年に国名をヨルダン・ハシェミット王国と改称し現在に至る。

<ヒッティーン難民キャンプ(幼児教育)>
パレスチナ難民の幼児教育支援を行う。難民キャンプ内の幼稚園において、音楽、耕作、絵本の読み聞かせの時間を提供したり、レクリエーション活動を行ったりしながら、子供たちを支援している。

キャンプが出来てから60年程経過していることもあり、その姿は「街」そのものだった。先生自身が望んで仕事をしているわけではなく、仕事や教育への意識が低いとのこと。 離職率も高く先生が定着しないがために、今後も協力隊の継続した支援が必要と感じた。

<ザアタリ難民キャンプ(青少年活動協力)>
シリアからの難民急増に伴い設置されたヨルダンのシリア国境付近にある難民キャンプ。約2000人の児童がおり学校が設置されているものの、環境整備が追い付かず十分な教育を受けるに至っていない。

警察と軍の護衛付きという物々しい雰囲気での視察でした。青少年活動を行っている女性隊員の活躍により、子供たちが無邪気に遊んでいる姿が見られた。 大半がテント暮らしで衛生状態もあまり良くないが、この活動により子供たちへの日常の活力や希望を与えることができているのではないか。

<第二次アンマン都市圏上水道施設改善計画-ザイ浄水場>
降水量が少ないアンマン都市圏において、ヨルダン渓谷にある運河から送水する揚水ポンプの更新により、年間給水量が倍増され飲料水の供給状況の改善に寄与。 また、ザイ浄水施設の機能が改善されたことで、安全な水の供給が可能となった。

元々はアメリカの支援で作った施設だが、日本のODAにより古くなった施設の補修や給水能力の拡大を行うなど日本の技術を集結してつくった賜物。 今は日本支援の手から離れヨルダン国内で運用しているそうだが、ODAとしては成功した案件に入るものと言えるだろう。 取水地から900メートル上の配水場までポンプ施設を経由して送水するところは圧巻。日本の技術の高さを再認識させられた。

<ヨルダン大学外国語学部日本語コース-日本語協力隊員>
1993年に開設されたコース。日本語初級の指導と年に一回のスピーチコンテストの開催及び学内で日本文化紹介イベントを行っている。 ヨルダン国内にて唯一の正規大学講座が開設され、日本語や日本文化に興味を持つ学生への貴重な機会を提供している。

日本とは真逆で若い世代が多いヨルダンでは、是非とも沢山の若者に日本に興味を持ってもらいたい。日本語を教えてそれでおしまいではもったいないので、 労働人口減少の一途をたどっている日本において、将来的に彼らを働き手として受け入れることができれば面白いと感じた。

<サルト市における持続可能な観光資源プロジェクト>
観光セクター開発事業で支援したサルト市の観光振興を目的とし、サルト市における「エコミュージアム構想」を実践するにあたり、住民を巻き込んだ持続的な観光振興を目指し、 運営体制の構築や観光商品開発支援を行う。

歴史的な建物や住居内の品々に対し、その素晴らしさを住民にきづかせ、地域ぐるみの町興しへとつなげていくプロジェクト。甚大な数の住民への聞き取り調査や事前の現場調整を重ねるなど、 なみなみならぬ労力を費やし、住民の理解を得ながら地域一体となって築き上げてきたプロジェクトだと思う。将来は世界遺産になりヨルダンの新しい観光名所として地域に還元できることを願う。

<最後に>
協力隊に参加し日本とは異なる環境下で任務を全うすれば、価値観や考え方の違いに囚われない柔軟で広い視野を持ち、今後の日本に必要とされるグローバルな人材となって帰国し、活躍することでしょう。 物事において100%成功することはありません。成功、失敗に関わらずチャレンジすることによって、その見識や経験を国内に還元し、今後の国際協力の精度向上や民間企業等での活躍に 活かしていくことも大切なのではないでしょうか。
国際協力を通じて成長したグローバル人材が日本で活躍する土壌が整えば、長期的な目線では有用なものになると信じておりますし、それもひとつの成果かと考えます。 (システム基盤部 吉野 一人)


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